第四話 闇の異業 - FINAL FANTASY DARK CRYSTAL

 翌朝二人は、予定通り、空路でガンズルムへ行くため、ファジリスタの国際空挺港へ向かった。空挺港へは、チョコボ車で移動したが、一時間ほどで到着した。国境に位置するファジリスタは、陸路・空路共に、サンドリアの国の玄関として機能していた。それ故か、空挺港はとても巨大な建物であった。高くそびえ立つ、壁、柱、大理石のタイル、その一つ一つに幻獣達などの神秘的な装飾が施されていた。

「ひゃぁ、ファジリスタの空挺港には初めてきたが、こいつはやり過ぎじゃねーの?ただの神殿だろ。」

「ははは...。」

 サンドリアは元来、プライドが高い国民性である。それが相まってか、他国に自国の偉大さを主張しているのであろう。

 入り口付近では、多種多様な種族の人間が出入りしており、港内でもそれは変わらずであった。が、アルエルタ族の人間はいたって少数であった。

 受付に確認したところ、ちょうどすぐに出発するガンズルム行きの便が見つかり、部屋も空いていたので、乗り込むことにした。

 二人は搭乗の手続きを済ませ、券を購入し、ゲートへと向かった。

「...ひとまず、尾けられてるとかはないな。」

「そうだね。」

 二人はあたりを見渡し、近くにいるアルエルタ族の様子を伺ったが、特に怪しい人物ではなかった。昨日今日の出来事では、いつ、どこで彼奴らが潜んでいるか警戒してしまうのは当然のことだろう。

 ほどなくして、ゲート前の列が動き出した。搭乗開始である。二人はゲートをくぐり、搭場に見えた飛空挺に驚愕した。空挺港に負けじ劣らずの、豪華絢爛な船であった。船首には、ガイアにおいて共通語としてよく使われる言語(文法と使用文字の簡素性からしばしばサンドリア語が共通語として使われている)で、グラディオ機工と書かれているロゴマークがつけられていた。グラディオ機工は、ガンズルムの大手機械工業会社で、各種旅客艇から兵器に至るまで幅広い事業を行なっている。世界でも知らぬものはほとんどいないだろう。

「どうりで旅券が高ぇわけだ。当日だからかと思ったが、それ以前に、ビップじゃねーか。別に、カーゴシップでもよかったのによ。」

「まぁまぁ、しかたないよ、乗れるのこれしかなかったんだし。」

 カーコジップとは、小型の旅客艇のことで、搭乗人数は少ないが、その分低料金で利用することができるものだ。

 確かに、少し待てば、違う便に搭乗もできたであろうが、一刻も早くウィーネをガンズルムに送らねばいけない状況ならば致し方なかろう。問題は、カールがバルドスから貰ったお駄賃が、底を尽きそうになっていたことである。なるべくなら残しておきたいのが、カールの正直な心情であった。

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