第四話 闇の異業 - FINAL FANTASY DARK CRYSTAL

 ウィーネはカールに、自身がタークスの諜報員であることを明かし、ダークスフィアのことを、話せる部分だけ説明し、ウィンダスから、ダークスウィアガンズルムに持ち帰る任務を遂行していることを話した。諜報員としては、誠にありえない行動であるが、任務復帰のために、カールの協力が必要なことと、先の出来事から、信用できる者と判断し、話す事を決断したようだ。

「なるほどね...。よく話してくれたよ。俺も似たような事昔にやってたからな。もちろん他には話さない。」

 ウィーネは、昔、という単語に違和感を覚えた。カールはどう見ても、二十代前半の容姿であるからだ。小さい時に諜報部員として働かされていたということだろうか。

「俺が、話しそうだったり、少しでも妙な素ぶりを見せたら、後ろから魔法でも浴びせて殺せ。」

「い、いやそこまでは...。」

 ウィーネは、確かに、諜報員ならばそこまですべきなのだろうが、心情としてそこまではできない、と、引いてしまった。

「おいおい、スパイ舐めてんのか?さては、おまえ新人か?」

 カールはにやけ顔で皮肉った。

「いや、あの確かに配属はつい最近だけど...。」

 ウィーネは、下を向き顔を赤らめた。

「冗談だよ。信じてくれてありがとな。でも、本当に気をつけろよ。人の口に戸は立てれないからな。」

 ウィーネは、心底、聞いてきたのはそっちだろ、と口答えしたかったが、それでも結局話してしまったのは自分だ、と省みた。だが、同時に、この青年には隠していてもすぐにバレそうな気もしていた。

「ひとまず、今日は遅いし、寝るべ。とにかく、ガンズルムまで、無事送るよ。」

「うん。」

 ウィーネが小さく頷くのを見るや、カールは手をひらひら、ウィーネの部屋を後にした。

 ウィーネは、少しだが、元気を取り戻していた。戸締りを入念にし、ドアと窓に警報用の鈴を取り付けた。部屋に入った時に取り付ければよかったのだが、先程はそんな事に気が回らないくらい疲労していたようだ。全てを終えた後、再びベッドに横になった。

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