第三話 下手な嘘 - FINAL FANTASY DARK CRYSTAL
ウィーネは夢を観ていた。ウィンダスの街が炎に包まれている。幼少のウィーネとその母親らしき人物が、何事か叫んでいる。
「お父さん、どこ?お父さん!」
ウィーネと母が納屋の横を通り過ぎようとする時、怒声が聞こえる。
「貴様か、貴様だったのだな、全てを狂わせたのは...!」
声を聞きつけたウィーネは、母が止めるのを振りはらい、燃え盛る納屋に入る。
「お父さん!」
「ウィーネ...!?」
父は、誰か、見たことのない人物と対峙していた。帽子を被り、メガネを携えたアルエルタ族。それ以外は、燃え盛る炎に遮られ見ることができない。対面のアルエルタは、入ってきたスキだらけのウィーネに剣で切り掛かってきた。
「!?」
ウィーネはとっさに目を瞑り、防御姿勢を取ることもままならなかった。
「ウィーネ!!」
......ウィーネは振り下ろされた剣が自身を傷つけていないことに気づく。目を開けると、そこには、父の姿が。
「ウィーネ、大丈夫か?我が娘よ...」
「だ、大丈夫、私は大丈夫...」
と、父は、唸り声を挙げ、ウィーネにもたれかかってきた。ウィーネがかばい、背中を触ると、その手に、大量の血がついた。
「お、お父さん......!?」
父の顔は青ざめ、生気を失っていた。
「きゃーーーーーーっ!!」
炎の中、ウィーネの悲痛な悲鳴だけが木霊する。
アルエルタ族の人間は、いつの間にか姿を消していた。